この記事では、「商業簿記」と「工業簿記」の違いを分かりやすく説明していきます。
「商業簿記」とは?
実業高校や大学の商学部や経営学部の必修科目にも指定されており、名前の通り小売業やサービス業で使われます。
簿記の基本でもあり日本商工会議所認定・いわゆる日商簿記では3級から設定がされています。
既存の商品の仕入れ及び売上、それに伴っての損益計算を行うものだと言っていいでしょう。
「工業簿記」とは?
いわゆる原価計算を主体としたものであり、取引先から材料や原料を仕入れ、それを組立、製造したものを販売することを生業とする業種で使われます。
メーカー、製造業がこれに該当し、日商簿記検定では2級から扱われる簿記です。
「商業簿記」と「工業簿記」の違い
「商業簿記」と「工業簿記」の違いを、分かりやすく解説します。
端的にいえば前者は商品を仕入、販売する広義での会計学だと言っていいでしょう。
後者は製品を製造するためにかかったコスト・原価を把握するための原価計算が主な目的です。
「商業簿記」についてのあれこれ
・『商業高校の多くの卒業指針に挙げられる全商簿記3級』
全国商業高等学校協会主催の簿記検定3級を多くの実業高校では卒業までの指針に掲げられています。
損益計算書と貸借対照表、仕入と売上、利益と損失の計上の仕方を主に学びますが、ここに工業簿記は含まれません。
・『簿記を習得したと言えるのは日商2級から』
一般的に実業高校の卒業指針に全商3級は掲げられますが、実際に簿記を学んだと言えるのは日商2級からだと言っていいでしょう。
実際に大学の商学・経営学部の推薦入試や簿記を学びましたと履歴書に書けるのは日商2級からとなります。
「工業簿記」ついてのあれこれ
・『簿記を学んだと言えるのは工業簿記を学んでから』
一般的に日商簿記2級に合格しなくては簿記ができるとは言わず、合格するためには工業簿記を学ばなくてはいけません。
難易度も日商2級からは跳ねあがり受験者数の30%、時には20%を切ることもあります。
・『完全工業簿記と不完全工業簿記とは』
前者は一般的な工業簿記、原価計算を意味するのに対して、後者は製造業が商業簿記の手法を用いて売上原価を計算することを指します。
決算書を作成するには効率的ではありますが、緻密な会計処理がされたとは言えません。
しかしその効率の良さから中小企業や個人事業主は不完全工業簿記・商的工業簿記を採用しているところもあります。
まとめ
商業簿記は既存の商品の仕入・売上を柱に売上原価、損益計算をするもので主に小売・サービス業、商店で使用されます。
工業簿記は商品を製造するためにかかった費用、原価を求めるためのものでした。
商業簿記・会計学、工業簿記・原価計算がそれぞれ実践と理論だと考えればいいはずです。