「他界」と「死亡」は生命が失われることを表す言葉です。
2つの言葉はどのような違いで使い分けられているのでしょうか。
今回は、「他界」と「死亡」の違いを解説します。
「他界」とは?
「他界」とは、「生命が失われることの婉曲的な表現です。
「他界」の使い方
「他界」という言葉が表しているのは「我々が住んでいる世界から別の世界に行くこと」です。
多くの宗教で見られる考え方として我々の住んでいる世界と人が死んだ後に行く世界は別である、という世界観があります。
天国や極楽あるいは地獄など命を失ったものは別の存在になりここではない別の世界へ旅立つ、というのは洋の東西を問わず様々な状況に見られる世界観です。
命あるものと命を失ったものが別の世界に住むという世界観においてここではない世界に旅立つというのはすなわち命の喪失を表しています。
「他界」とは直接な表現を避けたい時に用いられる死の婉曲表現です。
「死亡」とは?
「死亡」とは、「生物の生命活動が停止し命が失われること」を意味する言葉です。
「死亡」の使い方
生物が生きている状態ではなくなることを表します。
医学的には呼吸と心拍の停止に加え瞳孔の散大によって「死亡」が認定されますが何を持って「死亡」とするのか、医学的な基準以外にも宗教や文化により さまざまな考え方があります。
「他界」と「死亡」の違い
「他界」と「死亡」が表しているのはどちらも同じ「生命の喪失」です。
違うのは表現方法で「他界」は生きている者は行けない他の世界に行くと遠回りに表現することで生命が失われたことを表しているのに対し、「死亡」は生命が失われたことをストレートに表現しています。
相手に配慮するときに使うのが「他界」、事実のみを伝える事務的な言い方が「死亡」という違いで使い分けられます。
「他界」の例文
・『知人が他界した』
・『他界する前に一目会いたかった』
「死亡」の例文
・『死亡事故が起きてしまった』
・『病気が原因で死亡した』
まとめ
「他界」と「死亡」は表す意味合いは全く同じですが表現の仕方で使い分けられます。
言葉の正しい意味だけではなく微妙なニュアンスも理解して使い分けましょう。