「遺贈」と「死因贈与」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「遺贈」と「死因贈与」の違い専門用語・業界用語

この記事では、「遺贈」「死因贈与」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

死をきっかけに財産を贈る「遺贈」「死因贈与」ですが、似ているようで意味や使い方に違いがあります。

難しい言葉に見えますが、二つの意味や例文などを見れば、一目両全で違いがわかります。

遺贈と死因贈与の違い

「遺贈」「死因贈与」の大きな違いは、「財産を渡す本人が一人で決めたもの」なのか、「財産を受け取る側との契約によるもの」なのかということです。

また勘違いされやすい部分なのですが、どちらかが生前でどちらかが死後に決められたということではなく、どちらも生前に贈与の手続きを終えておかなければなりません。

生前に手続きなどを終えていない財産を受け取る手続きは「相続」と呼ばれます。


遺贈と死因贈与の使い方の違い

財産を渡す側を「遺贈者」、財産を受け取る側を「受遺者」と呼びます。

「遺贈者」が単独で決めて遺言に残した場合は「遺贈」で、「遺贈者」「受遺者」が双方で納得した上で契約して残したものが「死因贈与」なので、使い方には明確な違いがあります。


遺贈と死因贈与の英語表記の違い

「遺贈」の英語表記は、「bequest」「遺言によって譲る・残す・伝える」という意味になりまう。

「遺贈する」と表すのであれば「bequeath」となります。

「死因贈与」の英語表記は、「gift on donor’s death」です。

日本語に直訳し直すと少しわかりにくくなるのですが、法令用語の英語表記として正式に使えます。

遺贈の意味

「遺贈」の意味は、「死の後に後に残されたもの」または「死の後に与えられたもの」です。

他にも「個人の財産を寄贈する」という意味もあります。

遺言によって行われ、遺贈者が、誰にどのくらいの財産を渡すのかを指定したものです。

遺贈の使い方

「遺贈」は、遺言を残していること・受遺者との間に契約などをしていないことが前提で使われる言葉です。

そのため「遺言により、遺産を受け継いだ」という状況が最適な使い方になります。

テレビドラマや小説などでは、亡くなる直前に遺言が発覚したり、亡くなった後に遺言が見つかるといったケースがありますが、受遺者との間に契約がないことが明らかであれば、どちらの場合も「遺贈」です。

遺贈を使った例文

・『この土地は全て父から遺贈されたものである』

・『子供のいない叔母は、私にも遺贈をしてくれるらしい』

・『祖父の遺贈により、多額の現金を手に入れることとなった』

・『代々受け継がれてきた価値のある陶器を、私の代で博物館に遺贈することにした』

・『ここに飾られているコレクションは、遺贈されたものです』

遺贈の類語

「遺贈」の類語は、単純に「贈与」「遺す」となります。

ただしこれだけでは本来の意味が伝わらないため、わかりやすく伝えるのであれば「遺書で残された財産」が良いでしょう。

遺贈の種類

「遺贈」の方法には、目的に合わせて「包括遺贈」「特定遺贈」「負担付遺贈」の三つの種類があります。

「包括遺贈」は、「遺産の全部もしくは一部を割合で示す」方法です。

借金も相続する必要があり、遺贈を知ってから3カ月以内であれば放棄も可能です。

また一旦妻に全財産を引き継いだ後に、子が成人したら子に引き継ぐといった支持もできます。

「特定遺贈」は、「自分の財産の中から特定したものだけを渡す」方法です。

例えばA銀行の預金とか、土地と家、宝石類などといった具合に細かく指定できます。

この場合は借金の相続を一緒にする必要はありません。

最後に「負担付遺贈」ですが、「財産を付与するのと同時に義務も与える」というものです。

その土地に住み続けるのであれば土地を与えるといった指定ができます。

最近ではペットに遺産を残したいというケースもあり、ペットを飼い続けることを負担とする場合もあります。

いずれも負担の方が与えられる財産を上回らないことが前提です。

死因贈与の意味

「死因贈与」の意味は、「死亡によって効力を生じる贈与の契約」です。

単なる手続きではなく、契約という意味合いが強くなります。

死因贈与の使い方

「死因贈与」は、生前に遺贈者と受遺者の間で契約が行われていることが前提となります。

そのため受遺者が知らなかったというケースはありえません。

使い方としては「亡くなった後のために、財産の相続の契約を双方で行った」という状況になります。

死因贈与を使った例文

・『末期がんで余命の少ない父との間で話し合い、死因贈与の契約を行った』

・『父が亡くなった場合、死因贈与によりこの土地は私のものになる』

・『祖母は私のために死因贈与を行いたいと言っている』

・『死因贈与をすると、受け取りは放棄できないため慎重に考えるべきだ』

・『自分の意見もあるなら、死因贈与をしておいた方がいい』

死因贈与のメリット・デメリット

双方の契約を残すということで、「遺贈」よりも良いと思われる「死因贈与」ですが、メリットもデメリットも存在します。

「死因贈与」のメリットは、口約束でも成立すること・確実に資産を残せること・受遺者の意思も反映されることになりますが、デメリットは、放棄ができないこと・口約束のみだとトラブルになること・遺贈よりも税金がかかることがあげられます。

死因贈与の種類

「死因贈与」には、「負担付死因贈与」という種類があります。

「負担付遺贈」と考え方は同様ですが、生前に契約をするため、生前に何をすれば財産を与えるといった内容が可能になります。

まとめ

「遺贈」「死因贈与」には、このような違いがあります。

詳しくなると日常の生活でも約に立ちますが、テレビドラマや小説で同様の場面がでてくれば、より楽しんでみられるでしょう。

また間違って使っている場合に、気づくことができるかもしれません。