普段「存分に~」「十分に~」という言い回しをよく使いますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、「存分」と「十分」の違いを分かりやすく説明していきます。
「存分」とは?
「存分」(ぞんぶん)とは「思い通りに」「心ゆくまで」という意味です。
漢字の意味を見てみると「存」には「思う」という意味があり、「分」には「程度、状態」といった意味があります。
また「存」が意味する「思う」は「しっかり感じる」という意味合いがあり、これらの漢字を組み合わせた「存分」は、「しっかり感じられるほどに」「満足できるほどに」といった満足感を表す言葉になっています。
「存分」は一般に「存分に~する」のように、何らかの行動を満足するまでやり切る、思い通りに行うことを表す時に使われる言葉です。
類語には「不足がない状態まで満ちていること」を意味する「充分」(じゅうぶん)や「フル」などがあり、「存分」と言い換えても違和感のない文を作ることができます。
「十分」とは?
「十分」(じゅうぶん)とは「ものや気持ちが満ち足りているさま」のことです。
漢字の「分」は「あるものをいくつかにわけたひとつ」を表し、「十」は「数が10であること」または「数が多い状態」を意味しています。
これらのことから「十分」という言葉は「10等分」という意味も持ちますが「不足することなく、ものがたくさんある状態」を表し「物理的に数の不足なくそろっていること」または「不満がなく、精神的に満たされていること」も表しているのです。
なお「十分」は「充分」と表記されることもあります。
意味は同じですが、狭義には物理的な数値が満ち足りていることは「十分」とし、気持ちが満たされていることは「充分」と使い分けるのが適切とされます。
「存分」と「十分」の違い
「存分」と「十分」の違いを、分かりやすく解説します。
「存分」と「十分」はどちらも「必要なものが満ち足りている様子」を表す言葉で、互いに類語の関係にあたります。
大きな違いは「存分」が人の気持ちや行動に対して使われるのに対し、「十分」は物の数や量、人の気持ちに対して使われるところです。
「存分」は「思い通りに行う」「心ゆくまで楽しむ」といった満足感を表す言葉になっていますが、「十分」は物や人の気持ちが満たされている事実を表しており、ニュアンスがわずかに異なります。
まとめ
「存分」と「十分」はどちらも「足りないものがなくて満足できる状態」を表し、互いに類語の関係にあたります。
ただし、ニュアンスや使い方は少し異なるので、状況に合わせて使い分けていくことが大切です。