古い本や、外国語の本などを訳したものを、原文に対して「訳」と言いますが、全てを訳したものを、ケースによって「完訳」や「全訳」と言います。
この2つはどう違うのでしょうか。
この記事では、「完訳」と「全訳」の違いを分かりやすく説明していきます。
「完訳」とは?
「完訳」とは、文字通り「完全に訳したもの」のことで、通常は、古文や外国語の原本に対して、それを、完全に訳したものが「完訳」と言うわけです。
つまり、ここで問題なのは「完全かどうか」と言う部分になります。
どこかに訳として不完全な部分があれば、それは「完訳」とは言えないということになります。
「全訳」とは?
「全訳」とは、文字通り「全てを訳したもの」のことで、通常は、古文や外国語の原本に対して、それを全て現代語に訳したものが「全訳」になります。
対義語にあたるのは、「抄訳」や「要約」などですが、これらは「完訳」の対義語としても成立します。
「完訳」と「全訳」の違い
「完訳」と「全訳」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉は、ここまで解説したようにほぼ同じ様なシチェーションで使用されますが、若干の違いがあります。
それは、「完」と「全」の違いと言っても良いでしょう。
すなわち、「完訳」は「完全に」訳したものであり、「全訳」は「全て」を訳したものであるという部分です。
したがって、原本のうち一部の文章が何らかの理由で省略されていたとしたら、これは「完訳」である可能性はありますが、「全訳」とは言わないでしょう。
一方、原本からの省略は無いが、一部が訳されないで残っていたとすると、それは「完訳」ではないが「全訳」の可能性はあると言うことになります。
まとめ
この記事では、「完訳」と「全訳」の違いを、解説してきました。
場合によっては、同じ本に対して「完訳版」と「全訳版」と名前がついたものが出版されている場合もあります。
特に、それぞれが「原本」として採用したものにバージョンや時期の違いなどがあると状況はかなり複雑になります。
ある意味では「元祖」と「本家」に違いに似ているかもしれません。