この記事では、「能」と「歌舞伎」の違いについて紹介します。
能とは?
能とは日本の伝統芸能の1つで、室町時代に成立しました。
面をつけ美しい装束をまとい、専用の舞台で上演される歌舞劇です。
600年以上の歴史があり、江戸時代までは猿楽と呼ばれていました。
特定の芸能を指していたわけではなく、ストーリー性のあるものは全て猿楽だったのです。
その後、能楽と呼ばれるようになります。
能楽には2種類あり、人の怒りや悲しみ、恋慕の想いなどを描いているのが能です。
笑いや面白さを描いているのが狂言になります。
能の題材は高尚で、狂言の題材は世俗的です。
素顔で演じることもありますし、面をつけて演じることもあります。
面はこの世のものではないことを表すためにつけます。
歌舞伎とは?
歌舞伎も日本の伝統芸能の1つで、江戸時代に成立しました。
台詞や音楽、舞踊が一体となっている古典演劇で、お国という女性が始めた「かぶき踊」がルーツとされます。
歌舞伎の語源は「傾く(かぶく)」で、「かぶき」には新奇とか異様といった意味があります。
斬新な衣装を身に付けていたり、常軌を逸した行動を取る人のことを「かぶき者」と呼んでいました。
かぶき踊は演劇として成長し、人形浄瑠璃の台本や演出を取り入れて現在の形に近づいていきます。
歌舞伎には、男性が女性に扮する女形が存在します。
能と歌舞伎の違い
能が成立したのは室町時代で、歌舞伎が成立したのは江戸時代です。
そのため能の方が古い歴史を持っています。
また、能は素顔で演じることもありますし面をつけて演じることもあります。
歌舞伎の場合には、隈取と呼ばれる独特の化粧を顔に施して役柄を演じます。
それから能は武家によって発展してきた文化で、高尚な内容となっています。
歌舞伎は庶民の娯楽として発展してきた文化なので、人々を楽しませることを重視しています。
まとめ
成立したのは歌舞伎より能の方が古いです。
演者が面をつけるのは能で、化粧をするのが歌舞伎になります。