この記事では、「受諾」と「承諾」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「受諾」と「承諾」の違い
「受諾」と「承諾」は、両方とも相手の要求や依頼を聞き入れる、もしくは認めるという意味で使われます。
家族や友達などとの砕けた会話では、ほとんど使うことはありません。
親しい人から何かを要求されたり、頼まれた場合には、「子供の願いを受け入れてピアノを買った」や「友達の意見を聞き入れて、山へキャンプに行くことにした」のように「受け入れる」「聞き入れる」と表現するのが一般的です。
しかし、会議や仕事や裁判などでは、「受諾」と「承諾」はしばしば耳にする言葉です。
例えば「ポツダム宣言を受諾して太平洋戦争が終わった」や、「その件については承諾いたしました」などです。
「受諾」と「承諾」は、意味としてはほとんど同じです。
しかし「受諾」は、受け入れるという意味を表現するのに対して、「承諾」は認めるという意味を表します。
「受諾」の方は、相手の要求や依頼を受け入れても、その内容を認めているというニュアンスは少なくなります。
「承諾」は、相手の要求を認めて、積極的に受け入れることを表現しています。
「受諾」と「承諾」の使い方の違い
「受諾」と「承諾」の使い方ですが、「受諾」は国際的な条約や宣言を受け入れるときに使われます。
「京都議定書の受諾」とは言いますが、「京都議定書の承諾」とは言いません。
しかし、ビジネスやかしこまった場面では、相手の要求や依頼を受け入れるとき、また同意するときには「承諾」を使います。
会社などで「〇〇さんの提出した計画が承諾されました」と言うべきなのを、「〇〇さんの提出した計画が受諾されました」と表現すると、少々大げさで、物々しい感じになってしまいます。
「受諾」と「承諾」の英語表記の違い
「受諾」を英語表記すると「accept」「acceptance」です。
日本政府がポツダム宣言を受託したは、The japanease government accepted the Potsdam Declaration. となります。
「承諾」は「admit」「agreement」「consent」で表現できます。
「受諾」の意味
「受諾」は(じゅたく)と読みます。
意味は、相手の要求や勧告、または依頼などを引き受けることです。
簡単な言葉で表すと、「受け入れる」や「聞き入れる」です。
「受諾」の使い方
国家が国際条約や宣言を聞き入れるときに「受諾」を使います。
このように公的な要求や依頼を受け入れるときに使う言葉で、企業のビジネスシーンなどでは、「承諾」や「承認」もしくは「許可」を使います。
「受諾」を使った例文
・『日本はサンフランシスコ平和条約を受諾しました』
・『アメリカ大統領の指名受諾演説が行われた』
・『今度の勧告を受諾するかどうか予想するのが難しい』
・『〇〇氏は、オリンピック会長職を受諾しないと表明しました』
「受諾」の類語
「受諾」の類語には、「承認」「同意」「受け入れ」「認める」「聞き入れ」などがあります。
しかし、意味は同じような言葉でも、国際条約や宣言の受け入れに関しては、文書として表記する場合は「受諾」が一番適切です。
「受諾」の対義語
「受諾」と反対の意味を持つ言葉は、受け入れない、否定する意味の「拒絶」「拒否」があります。
国際条約を受け入れない場合には、「国際条約の拒否」と表現されています。
「承諾」の意味
「承諾」は(しょうだく)と読みます。
似たような言葉に「了承」や「承知」「了解」があります。
意味は、相手の申し出や願いを聞き入れることです。
もう少し簡単に表現すると「受け入れる」や「引き受ける」となります。
この言葉は、ビジネスシーンでよく使われます。
特に契約を結ぶときに、相手の条件に同意すると言う意味で「承諾しました」と表現します。
「承諾」の使い方
「承諾」は、かしこまった場面やビジネスシーンでよく使われる言葉です。
「承諾」を敬語だと勘違いしている方もいますが、相手に同意してもらったり、許可してもらったりする場合には、「承諾お願いいたします」ではなく、「ご承諾お願いいたします」と、「ご」をつけるのが正解です。
しかし自分が誰かから承諾してもらったケースなら敬語は必要ないので、「課長から承諾を得た」となります。
「承諾」を使った例文
・『その件については先日承諾されています』
・『時間がないので、今回は事後承諾でもしょうがない』
・『ようやく結婚の承諾を得られました』
・『明日までに相手の承諾をとっておいてくれ』
「承諾」の類語
「承諾」の類語には「承認」「同意」「了承」「賛成」「受諾」などがあります。
また簡単に表現するなら、「受け入れる」「聞き入れる」「認める」「許し」を使います。
「承諾」の対義語
「承諾」と反対の意味を持つ言葉は、「承諾」の対義語と同じく、受け入れない、否定する意味の「拒絶」「拒否」があります。
また「承諾する」と動詞として使う場合には、「反対する」も使えます。
「その願いは反対された」は、願いが受け入れられなかったことを意味します。
まとめ
「受諾」と「承諾」は、どちらも要求、要望、依頼などを引き受けることを表す言葉です。
しかし、どの場面で使うか違いを理解していない人もいます。
国際条約などの受け入れを「国際条約の承諾」と表現するのは、正しい日本語ではありません。
このような「受諾」と「承諾」の違いを、きちんと理解して、間違わずに使いこなせることが大切です。