お盆に行われる日本の行事に、灯篭流しと精霊流しがあります。
どちらも似た行事ですが、どのような違いがあるのかを解説します。
灯篭流しとは?
灯篭流しは、あの世から帰ってきた死者の魂を再びあの世へと送り出す送り火という儀式の一つになります。
山の送り火と海の送り火があり、灯篭流しは死者の魂を灯篭にのせて海へと送り出します。
山の送り火として有名なのは、京都の五山送り火です。
灯篭流しは全国各地で行われており、夏祭りと一緒に行われることも多くあります。
また、夏祭りの際には花火大会が開催されることもあります。
灯篭流しが行われるのはお盆が多いですが、地域によってお盆の時期が異なるところもあります。
そのためこの日に行うと定められているわけではなく、地域によって灯篭流しが行われる時期には違いがあります。
広島では原爆で亡くなった人を悼むために8月6日の原爆の日に合わせて灯篭流しを行いますし、新潟県の長岡市では長岡空襲で亡くなった人を慰霊するために空襲が起きた8月1日に行っています。
以前は灯篭はそのまま川や海に流されていましたが、ゴミの問題などもあり現在は下流などで回収されることが多くなっています。
精霊流しとは?
精霊流しは、長崎県や熊本県でお盆に行われる伝統行事です。
精霊流しも送り火の一種で、死者の魂を弔うために行います。
初盆を迎えた死者の魂のために精霊船という船を作って、川か海の流し場まで遺族が担いで運びます。
精霊船は大きい方が良いとされ、見た目は追悼行事とは思えないような華やかなものです。
盆提灯や花などが飾られています。
以前はそのまま海や川に流されていましたが、環境への配慮もあり流されることはなくなりました。
ただし、川や海に精霊船を浮かべる地域もあります。
また、精霊船を曳いて川まで運ぶ際には爆竹が鳴らされ、騒々しい雰囲気にもなります。
これは大きな音を鳴らして邪気を祓うという中国の風習の影響を受けたものです。
長崎県出身のミュージシャンさだまさしは精霊流しを題材にした「精霊流し」という曲を作っており、ヒット曲となりました。
初盆でない場合には船は作りません。
灯篭流しと精霊流しの違い
灯篭流しも精霊流しも送り火の一種で、死者の魂を弔うために行うものです。
灯篭流しが全国で行われている行事に対して、精霊流しは佐賀県や熊本県など限られた地域で行われている行事です。
灯篭流しは灯篭に死者の魂をのせて運びます。
精霊流しは精霊船と呼ばれる船に死者の魂をのせて運びます。
ただし、精霊船を作るのは初盆の時だけです。
また、灯篭流しはしめやかな雰囲気で行われることが多いですが、精霊流しは精霊船を華やかに飾り爆竹を鳴らすのでかなり賑やかな印象になります。
追悼行事なのですが、お祭りのような雰囲気があります。
まとめ
灯篭流しも精霊流しも送り火の一種ですが、全国で行われている灯篭流しに対して精霊流しは一部の地域で行われる行事です。
灯篭流しは厳かな雰囲気で行われ、精霊流しは賑やかな雰囲気で行われます。