魚を育てて出荷する養殖漁業には「海面養殖業」と「内水面養殖業」があります。
このふたつの養殖業はどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「海面養殖業」と「内水面養殖業」の違いについて解説します。
「海面養殖業」とは?
「海面養殖業」とは、「海を使って行われる養殖事業」を意味する言葉です。
「海面養殖業」の使い方
卵や稚魚から魚介類を飼育し大きくなるまで育ててから出荷する漁業のやり方を「養殖」といいます。
天然資源に頼らず自分たちの手で漁業資源を増やせる「養殖」は食糧の安定供給だけでなく魚類資源保護にも大きな効果をもたらす技術です。
水の中で育つ魚介類を育てるには飼育環境として大量の水や魚介類が安全に過ごせるスペースが必要です。
「養殖のためのスペースとして海を活用する養殖方法」を指して「海面養殖業」と表現します。
「海面養殖業」はその名の通り海面、つまり海を利用して魚介類を大きく育てる養殖技法です。
魚介類を大きく生育させるには飼育環境が重要です。
できるだけ自然に近い環境を用意する必要がありますが自然の海水を利用した「海面養殖業」は魚介類に合わせて水を用意する必要がなく魚にとって理想的な環境を簡単に再現できます。
成分や季節ごとの温度変化なども自然環境を利用できるので細かい調整が必要なく比較的容易に理想に近い養殖環境を再現できるのが「海面養殖業」のメリットです。
「内水面養殖業」とは?
「内水面養殖業」とは、「川や湖などを利用して行われる魚介類の養殖事業」を意味する言葉です。
「内水面養殖業」の使い方
「内水面養殖業」の「内水面」とは「内陸部にある水面」を意味します。
簡単にいえば「海以外の水」を指しており一般的には川や湖、沼など陸地の中にある水面を表します。
「内水面養殖業」は主に淡水に棲息する魚介類の養殖事業を意味する言葉です。
ウナギやドジョウ、コイやマスなど淡水の魚介類も貴重な漁業資源として食用や観賞用に活用されています。
淡水で生活する魚介類を育てるには当然淡水の飼育環境が必要です。
「内水面養殖業」では種類ごとにふさわしい生育環境を再現した養殖施設を用意し十分な大きさになるまで育ててから出荷します。
天然の池や湖などを利用する養殖業のほか、プールやいけすなど人工的に作られた施設を利用した内陸部の養殖業も「内水面養殖業」に含まれます。
「海面養殖業」と「内水面養殖業」の違い
「海面養殖業」と「内水面養殖業」の違いは「場所」です。
海で行われる養殖業が「海面養殖業」、内陸部の川や湖などで行われる養殖業が「内水面養殖業」という違いで区別されます。
海水と淡水という違いのほか育てられる魚介類の種類や設備設計などにも違いが見られます。
「海面養殖業」の例文
・『海面養殖業の中でもブリの生産量が伸びている』
・『ノリの養殖は海面養殖業に分類される』
「内水面養殖業」の例文
・『湖を利用したウナギ養殖は内水面養殖業の中でも長い歴史がある』
・『金魚の養殖も内水面養殖業である』
まとめ
「海面養殖業」と「内水面養殖業」はどちらも養殖漁業ですが行う場所に違いがあります。
どこで養殖しているのかに注目してふたつをきちんと区別してください。