「ファントムストック」と「ストックオプション」の違いとは?分かりやすく解釈

「ファントムストック」と「ストックオプション」の違い金融・経済

金融用語の「ファントムストック」「ストックオプション」とはどのような仕組みでどこに違いがあるのでしょうか。

今回は、「ファントムストック」「ストックオプション」について解説します。

「ファントムストック」とは?

「ファントムストック」とは、「一定の金額で企業の株式を架空に購入しその時点での株価との差益を受け取れる権利」を意味する言葉です。


「ファントムストック」の使い方

資金力のない新興企業にとって高額の報酬を払うことは経営の重い負担になるため現時点で高額報酬を支払うのではなく将来的な報酬を約束し企業が成長してから後払いする契約が結ばれることがあります。

「ファントムストック」は後払い式の報酬を意味します。

「ファントムストック」で報酬として提示されるのは「企業の株を一定額で買う仮想の権利」です。

「ファントムストック」では企業が社員に対して一定額で株式を購入する権利を与えますがこれは仮想の権利です。

現在の株価が100円の新興企業が存在すると仮定します。

企業や優秀な社員を雇い企業を成長させるようはたらくモチベーションとするために報酬として3年後に株式を1株1000円で1万株購入できる権利を社員に与えます。

社員が懸命に働き3年後に株価が1500円に上昇したとすると社員は権利を行使して1株1000円で1万株購入し即座に売却することで1株当たり500円を1万株で合計500万円の報酬を受け取れます。

株価がもっと高くなり1株2000円なら報酬は1000万円に、1株10000円なら報酬は9500万円にというように株価が上昇すればするほど報酬も高額になるため社員は高額報酬を受け取るために会社の価値を高めて株価を上げようと懸命に働きます。

逆に株価が1000円以下のときは権利を行使せず放棄すればよいので損失が出ることはありません。

「ファントムストック」はこのような仕組みを全て架空の権利で行います。

株価が上昇し1500円になった場合は1000円で1万株購入して売却したものとみなし差額の500万円が報酬として直接支払われます。

現物株の取引が行われないので株式市場に影響を与えない「ファントムストック」は株式価値を基準に報酬を算定する報酬決定システムを指す言葉です。


「ストックオプション」とは?

「ストックオプション」とは、「事前に決められた価格で将来的に株式を購入する権利」を指す言葉です。

「ストックオプション」の使い方

「3年後の4月1日に1株あたり1000円で1万株まで購入できる」という「将来的な取引の権利」「ストックオプション」といいます。

将来的に値上がりしていれば契約価格との差額が利益となり、値下がりすると利益はありませんが権利を放棄することで損失も出ません。

「ストックオプション」では株式価格が上がれば挙がるほど報酬も上がるので企業価値向上のモチベーションになりますが、権利行使日に一斉売却による値下がりが発生するなど株式市場への影響がでてしまいます。

「ファントムストック」と「ストックオプション」の違い

「ファントムストック」「ストックオプション」の違いは「株式のやりとり」です。

「ファントムストック」は株式価格を基準に差額を現金でやりとりする仕組みですが「ストックオプション」では株式の現物がやりとりされるので発行増による希薄化や大量買い付け、大量売却による価格変動が生じるという違いがあります。

「ファントムストック」の例文

・『企業の立て直しに成功したのでファントムストックを行使して報酬を受け取る』
・『ファントムストックは発行済株式数に影響を与えない仕組みだ』

「ストックオプション」の例文

・『ストックオプションで巨額の報酬を手にした』
・『立て直しのために招いた経営者とストックオプション契約を結ぶ』

まとめ

「ファントムストック」「ストックオプション」はどちらも株価上昇を利用した報酬支払いを指す言葉ですが内容は大きく異なります。

きちんと理解していないと損をする可能性があるのでそれぞれの意味を正しく理解しておきましょう。