ビジネスを手がける人を表す言葉として「起業家」と「実業家」と「経営者」があります。
経済ニュースなどでよく見にするこれらの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「起業家」と「実業家」と「経営者」の違いについて解説します。
「起業家」とは?
「起業家」とは、「新しく事業を立ち上げる人」を意味する言葉です。
一般的に「起業家」という言葉は「会社を新しく作り育て上げることで利益を得るビジネスマン」を指します。
「起業家」の目的は企業経営ではなく会社を育て上げて価値を高めて別の人に売る「会社の売却」です。
小さな会社を大きく育て上げ価値を高めることに成功すれば元での何倍もの価格で売却が可能です。
新規分野を開拓したり新たなアイデアで勝負したりなど方法はさまざまですが、少ない資本を元手にした会社の価値を高めて売却し利益を得る人を指して「起業家」と表現します。
特定の分野にこだわわず多種多様な事業を手がけることが多く、育てた企業が株式を上場するときに持ち株を売却して利益を得るのが「起業家」の一般的なビジネスモデルです。
「起業家」の例文
・『有名な起業家が新規事業を立ち上げた』
・『多くの起業家は株式売却による利益を最優先にしており長期経営を重視していない』
「実業家」とは?
「実業家」とは、「実業を営む人」を意味する言葉です。
「実業家」の「実業」とは「実体としての物や人を扱う商売」を意味する言葉です。
商品を売ったり製品を製造したりといった実体を伴うビジネスが「実業家」であり、証券取引や仮想通貨投資のような数字上のやりとりのみで実体を伴わないビジネスを意味する「虚業」ではないことを指しています。
ビジネスのうち「実業家」に当てはまらないのは金融や投資などごく一部のみで、この世に存在するビジネスのほとんどh実業に該当します。
「投資するだけではなく実際に会社経営に携わっているビジネスマン」が「実業家」です。
「実業家」の例文
・『新進気鋭の青年実業家が雑誌で特集されている』
・『手がけているのは小さな店だが、肩書は実業家である』
「経営者」とは
「経営者」とは、「企業経営を行う人」を意味する言葉です。
現代の企業は所有と経営の分離が原則となっているので「経営者」と会社の所有者が同じとは限りません。
株主総会で選ばれた人間が「経営者」になるので会社に雇用されている人から選ばれる「サラリーマン経営者」もいれば自ら会社を所有しつつ経営も行う「オーナー経営者」もいます。
一般的には会社のトップを指しますが経営集団として役割を分担するなど一つの会社に複数の「経営者」が存在することもあります。
「経営者」の例文
・『業績定価に関して経営者の責任が問われる』
・『新製品の発表記者会見で経営者が自ら説明した』
「起業家」と「実業家」と「経営者」の違い
「起業家」の目的が新しく作った会社の価値を高めて高額で売却することであるのに対し「実業家」と「経営者」は安定的な利益を上げて長期的に会社を存続させていくことを目的にしているという違いがあります。
「起業家」はゼロから会社を興しますが「実業家」と「経営者」は中途で経営に参加することもあります。
「実業家」が一般的に会社を所有して経営も行う人を指すのに対し「経営者」は会社の所有権にかかわらず経営に携わる人を指します。
まとめ
「起業家」と「実業家」と「経営者」はどれもビジネスの専門家ですが目的や立場に違いが見られます。
それぞれの違いに注目してふさわしい言葉を使ってください。