何かが『適さない』や『相応しくない』という言葉を説明する為の言葉はとても多く存在しています。
しかしそれぞれの微妙なニュアンスについてはあまり知られていません。
この記事では「不適正」と「不適切」と「不適当」の違いを分かりやすく説明していきます。
「不適正」とは
この言葉の意味は『物事や人などの性格や性質がある対象に対して全く適さないか』を指します。
ポイントとしては『全く適さない』という部分にあります。
これはつまり、『全く持って正しくない、相応しくない』という意味に置き換えることができます。
つまりある範囲や基準と比べたときに対象となるものが、その範囲や基準に当て嵌らないということになるとても厳密な意味なのです。
例えば『今回の給付金の対象基準は全く持って不適当だ』というと、給付金の対象は正しくないという強い意味になります。
「不適正」の例文
・『残念ながらあなたの行った好意は不適正であると言わざるを得ない』
・『市民の苦情に対して行った対処は不適正であった』
「不適切」とは
この単語は『その場の状況や話題になっている事柄が通常の配慮や考えに当て嵌めて相応しくないこと』です。
この言葉のポイントは『通常の配慮や考え』というかなり主観的な言葉になっている部分です。
これらははっきりとした判断基準を持たないものでありますが、かと言って全く判断できないほどにぼやけたものではないものです。
例えば同じ『おめでとうございます』という言葉を例に挙げるとある場所では問題なくても、時と場合によっては使うのは問題になります。
『その発言は不適切である』の様な形で表現します。
『不適切』かどうかの判断を下すのは人の考えや習慣、場所など様々なものが複雑に入り混じる為、明確な線引きができませんがだからと言ってなんでもよいというわけではなく、『その場や状況にだけ適する相応しく、カチッと場に嵌っていない』事柄が存在します。
そのような場合にこの『不適切』を使うのです。
「不適切」の例文
・『彼が会議で発言した内容は全く持って不適切であった』
・『このような子供の教育に不適切な表現は控えるべきではないだろうか』
「不適当」とは
この単語は『程度などが程よくないこと』です。
悪く言えば『いいかげん』とも言い換えることができる言葉です。
この言葉には基準や線引きが全くないかなり範囲が広く使える言葉です。
例えば『電車の中は本を読むには不適当だ』という言葉を見ると全く持ってはっきりとした基準がないことがわかります。
電車は決して読書をしてはいけないというルールがある訳でもありません。
人によっては揺れたり、落ち着いて読書をできないという理由もあるかもしれませんが、それは人それぞれです。
そのような基準や一般的なTPOなどの考えがないが何かが正しくないという時に『不適当』を使います。
「不適当」の例文
・『そのような教育方法は今の子供には不適当ではないだろうか』
・『残念ながら肉の生食はこの国では不適当とされている』
「不適正」と「不適切」と「不適当」の違い
それぞれ『基準から見て全く持って正しくない』、『はっきりとした基準はないが、正しくない』、『基準はないが正しくない』という区別をつけることができます。
間の『適』を取ってみるとイメージが湧きやすいかもしれません。
『不適正』は『正しくない』。
『不適切』は『基準を切ることができないが正しくない』。
『不適当』は『該(当)する基準はないが正しくない』の様な形です。
まとめ
如何でしたでしょうか。
混同されて使われているのが今回の3語ですが、実はしっかりとニュアンスに違いがあるのは驚きではないでしょうか。
似たような表現の場合はその度合いや範囲などを意識するように心がけてみてください。