「危惧」と「懸念」と「憂慮」
いずれも同じような言葉に感じますが、違いや使い分けはあるのでしょうか?
この記事では、「危惧」と「懸念」と「憂慮」の意味や違いについて分かりやすく説明していきます。
「危惧(きぐ)」の意味とは?
「危惧」とは、「あやぶみ、おそれること」を意味する言葉です。
「危」という字は「危(あぶ)ない」や「危(あや)うい」とも書き、「あやぶむ」、「おそれる」という意味を含んでいます。
「惧」という字にも「おそれる」や「おどろく」という意味が含まれており、「危惧」は同じような意味を持つ漢字を重ねることで、「不安がること」や「おそれること」をより強調した言葉と言えます。
「危惧」を使った例文
・『オゾン層の破壊は、環境のみならず健康にも被害を及ぼすことが危惧されている』
・『自然災害により地域が受ける経済的ダメージが危惧されている』
・『絶滅の危機に瀕している動植物たちは絶滅危惧種に指定されている』
「懸念(けねん)」の意味とは?
「懸念」とは、「気にかかって、不安に思うこと」や「執着すること」を意味し、仏教用語では「1つのことに心を集中させること」を指します。
「懸」という字は「懸(か)ける」、「懸(か)かる」とも書き、「高いところからぶらさげる」をはじめ様々な意味を持ちますが、「気に懸ける」という表現があるように「心配すること」も指しています。
「念」という字は「おもい」や「おもう」、「心にとめて忘れない」という意味です。
「懸念」を使った例文
・『突如勃発した内紛が株価に大きな影響を及ぼすことが懸念される』
・『人件費削減により、現場スタッフの負担が増える懸念が生じる』
・『法改正により得する人がいる一方で、負担を強いられる人がいるのではないかと懸念を抱く』
「憂慮(ゆうりょ)」の意味とは?
「憂慮」とは、「心配すること」や「思いわずらうこと」を意味する言葉です。
「憂」という字は「憂(うれ)う」とも書き、「心配する」や「思い悩む」という意味を持ちます。
「慮」という字は「慮(おもんぱか)る」とも書き、「思いを巡らす」という意味を持ちます。
6. 「憂慮」を使った例文・『この貿易に関するトラブルが後々大きな国際問題へと発展しないか憂慮されている』
・『機械化に伴う業界の衰退を憂慮し、転職を考え始めた』
・『彼は親族の病状がなかなか回復せず、憂慮に堪えないようだ』
「危惧」と「懸念」と「憂慮」の違い
「危惧」・「懸念」・「憂慮」はいずれも「心配すること」や「おそれること」を意味する言葉ですが、「危惧」と「懸念」は「現実となってはいないが、これから起こる可能性がある心配事」に対して用いられます。
一方、「憂慮」は「すでに現実となって起こっている心配事」に対して用いられます。
まとめ
・「危惧」とは、「あやぶみ、おそれること」を意味する言葉です。
・「懸念」とは、「気にかかって、不安に思うこと」や「執着すること」を意味する言葉です。また、仏教用語では「1つのことに心を集中させること」を指します。
・「憂慮」とは、「心配すること」や「思いわずらうこと」を意味する言葉です。