「人徳」と「仁徳」と「人望」
いずれも同じような言葉に感じますが、違いや使い分けはあるのでしょうか?
この記事では、「人徳」と「仁徳」と「人望」の意味や違いについて分かりやすく説明していきます。
「人徳(じんとく/にんとく)」の意味とは?
「人徳」とは、「その人に備わっている徳」を意味する言葉です。
「徳」とは、「精神の研鑽により、その身に得た優れた品性」や「めぐみ、恩恵」、「神仏の加護」、「生まれつき備わった能力や性質」などを意味します。
このうち、「人徳」の「徳」は「道徳的、倫理的、社会的に優れた品性や人格」のことを指しています。
「人徳」を使った例文
・『あの人の元に有能な人材が集まるのは、人徳があるからだろう』
・『何万人もの協力を得ることができたのは、まさに彼の人徳のなせる業と言える』
・『生前の数々のエピソードが、彼女がいかに人徳に恵まれていたかを物語っている』
「仁徳(じんとく)」の意味とは?
「仁徳」とは、「仁愛の徳」や「他人に対する慈しみや思いやりの心」を意味する言葉です。
「仁」や「仁愛」は、「他人を思いやり、慈しむこと」を意味します。
「孔子」により開創された「儒教」では「仁」「義」「礼」「智」「信」という5つの徳目が思想の根本とされており、なかでも「仁」は最高の徳目とされています。
「仁徳」を使った例文
・『仁徳のある振る舞いは、巡り巡って自分を助けることにつながる』
・『かの人物は高貴の生まれながら、庶民を慈しむ仁徳も持ち合わせていた』
・『仁徳のない言動が災いして、彼には悪評が付きまとうことになった』
「人望(じんぼう)」の意味とは?
「人望」とは、「人々から信頼を寄せられ、慕われ、仰がれること」を意味する言葉です。
「望」という字には、「のぞむ」や「遠くを見る」、「ねがう」、「待ちのぞむ」という意味のほか、「人気」や「誉」という意味も含まれています。
文字通り「人からの人気」や「人からの良い評判」を表した言葉になります。
「人望」を使った例文
・『今回の選挙では、人望あふれる議員が当選した』
・『窮地に陥るたびに助ける人が現れたのは、彼に人望があるからに違いない』
・『金銭関係の不祥事を起こしてしまい、あのアーティストは人望を失ってしまった』
「人徳」と「仁徳」と「人望」の違い
「人徳」は優れた人格や品性など、その人の持つ「気質」や「性質」を指して用いられます。
一方、「仁徳」は「思いやり」や「慈しみ」など「人の心」を表す言葉になります。
「人望」は、優れた振る舞いや功績の結果、周囲から寄せられる信頼や期待のことを指します。
まとめ
・「人徳」とは、「その人に備わっている徳」を意味する言葉です。
・「仁徳」とは、「仁愛の徳」や「他人に対する慈しみや思いやりの心」を意味する言葉です。
・「人望」とは、「人々から信頼を寄せられ、慕われ、仰がれること」を意味する言葉です。