「加齢」と「老化」と「劣化」の違いとは?意味や違いを分かりやすく解釈

「加齢」と「老化」と「劣化」の違いとは?生活・教育

この記事では、「加齢」「老化」「劣化」の違いを分かりやすく説明していきます。

「加齢」とは?

「加齢」とは、「年齢を加える」と読むことができる熟語であり、意味もそのまま「年齢が増えること」を意味します。

よく「加齢臭」などと言うことからもイメージできるように、現在「加齢」という言葉が使われるのはある程度年配の方に対して使用される言葉ですが、「加齢」自体には何歳までに対して言うという指定は特にありません。

ただ、「年齢を加える」という漢字の意味から「今までの年齢に更に加える」という意味を暗に含み、累計の年齢が増えてきていることを示すことから、「加齢」は小さい子供よりは成人に対して使用するのが自然な言葉です。


「老化」とは?

「老化」とは「老いるように化す」と、読んで字のごとく「年をとって老いる」ことを指します。

「老」とは「年をとること」「経験を積んだ徳の高い人」などを示す漢字ですが、いずれの意味でも「年齢がとても高い」ことを意味します。

そのため「老化」という言葉は「年齢の高さ相応の特徴が出てきた」という意味から転じて「年配の方特有の体・脳の衰えがでてくる」ことを意味するようになります。

今回の場合はマイナスの意味で登場した「老」ですが、「敬老の日」「敬老」のように「老」自体を経験豊かな人として捉えるプラスの意味で使用されることもあります。

そのため「老人」なども文脈によっては尊敬の意味が込められた言葉として使用されることがあります。

ただし、「老化」は意味自体がマイナスな言葉なので無闇に人に対して遣うのは避けたほうが良いでしょう。


「劣化」とは

「劣化」とは「劣るように化する」と読むことから、何か物の品質などが劣っていく様子を指すときに使用されます。

身近な活用例としては、ゴム製品や水道管などに対して使用されますが、人間そのものに対しては使用されません。

使用するとしても、人体に入れた人工関節などの器具や関節の特定の部位に対して遣われるのみです。

これは、ゴムや水道管などの無機物はそれ自身の性質が低下することで能力が発揮されなくなり使用できなくなるのに対して、人間はその日の体調や気分によって能力が大きく変動し活動できない日がまばらであるためです。

そのため「劣化」をより詳しく説明するのであれば「何かの物が本来持つ性質や品質が低下したこと」「何か物が本来持つ性質や品質が低下して本来の能力が発揮できなくなったこと」となります。

「加齢」と「老化」と「劣化」の違い

以上のように説明される「加齢」「老化」「劣化」は、人や物の能力低下の意味を含まない「加齢」と能力低下の意味を含む「老化」「劣化」に分けることができます。

更に「老化」「劣化」は、人間や動物に対して使用する「老化」と、無機物に対して使用する「劣化」に分けることができます。

「老いる」のは動物、品質が「劣る」のは無機物、と覚えておくと良いでしょう。

まとめ

今回は、物や人が「歳をとる」という意味を含む言葉の意味の違いを細かく見ていきました。

上記のように説明した「加齢」についてですが、現代では歳をとることが避けるべきこととして捉えられるようになり、マイナスのイメージを持った言葉となってしまいました。

このように言葉は時代とともに意味を変化させて行くものです。

近い未来、AIなどの人工知能が人間と見分けがつかなくなることで、無機物であるロボットに対して「老化」という言葉を使用したり、逆にAIに人間が「劣化した」と言われる時代が来るかもしれません。