この記事では、調理法の「たたき」と「炙り」の違いを分かりやすく説明していきます。
「たたき」とは?
「たたき」と呼ばれる調理法はいくつかありますが、「炙り」に似た料理法には、かたまり状の魚や肉の表面をさっと焼いて中が生の状態のまま切り分けて食べる「たたき」があります。
この調理法を使った代表的な料理が「カツオのたたき」です。
これは高知県の郷土料理で、生のカツオの表面を炭火などで焼いてから冷やし、薄くスライスしたものに薬味とタレをかけて供されます。
焼く前の生のカツオ、または焼いた後のカツオの表面に味をなじませるため、塩をまぶして叩くことから「叩き=たたき」と呼ばれるようになったといわれます。
また「牛のたたき」という料理は、牛肉のかたまりをフライパンなどで焼き、表面だけ火を通してから薄くスライスし、中がレアな状態でソースをかけて供します。
(食中毒予防の観点から、飲食店で牛のたたきを提供するためには厳しい基準が設けられています)
ちなみに、「たたき」と呼ばれる調理法には、生の魚や肉を包丁でたたくように切り刻んで薬味や調味料を加える「たたきや、ごぼうやきゅうりなど硬い根菜をすりこぎなどで叩いて軽く割る「たたき」もあります。
「炙り」とは?
「炙り(あぶり)」とは、食材の表面に直火を部分的に当て焼き目を付ける調理法です。
一般にはトーチバーナー(ガスバーナー)と呼ばれる、ノズルから炎が噴き出る道具を使い、食材の表面に炎を噴射して焼き目を付けたり脂を溶かしたりします。
主に香ばしさを出したい時、魚や肉の表面を軽く焼いてジューシーな脂を引き出したい時、砂糖をまぶしたデザートの表面を焦がしてキャラメリゼする時に用います。
なお、「炙る」という言葉自体は「物に火を当てて軽く温める、焼く」ことを指しますが、調理法の「炙り」は炙る場所が限られており、上から表面だけ火を当てるところが一般的な「炙る」とは異なります。
「たたき」と「炙り」の違い
「たたき」と「炙り」の違いを、分かりやすく解説します。
これらは、どちらも食材の表面だけに火を当てて軽く加熱するところが共通しています。
ただし「たたき」は食材の表面全体をまんべんなく加熱するのに対し、「炙り」は食材の表面を部分的に加熱するところが異なります。
「たたき」はカツオを燃やした稲わらで焼いたり牛肉の表面をフライパンで焼いたりして、中が生の状態になるよう仕上げるのが特徴です。
一方、「炙り」は食材の表面にバーナーなどの炎を当てて焼き、一部分だけに焼き目や焦げ目を付けることを目的におこなわれているところが「たたき」と違っています。
まとめ
「たたき」と「炙り」は、どちらも食材の表面を火で焼く調理法ですが、火の当て方や目的が異なります。
なお「たたき」はカツオのたたきがおなじみですが、カツオの表面に味をなじませるため塩をまぶして叩くことから、その名がつけられたといわれます。