ニホンオオカミの絶滅により本来の意味合いは形骸化?この記事では、「ニホンオオカミ」と「ヤマイヌ」の違いを分かりやすく説明していきます。
「ニホンオオカミ」とは?
近代日本において絶滅した動物の代表として挙げられるのが「ニホンオオカミ」だと言っていいでしょう。
国内では明治以降の減少は著しく、最後の個体となったのは1905年に奈良県の東吉野村鷲家口で捕獲されたものだとされています。
江戸時代にシーボルトがオランダへ持ち帰り、オランダ南ホラント州のライデン博物館に展示されたものと英国の大英博物館に展示されている2点と合わせても世界に5点しか剥製が存在していません。
また「ニホンオオカミ」はともに明治時代に絶滅した「エゾオオカミ」と混同されがちですが、極めて小柄な種類なのが特徴だったと言われます。
「ヤマイヌ」とは?
“イヌ”と名前がつくために野生化したイエイヌ・野犬を指す言葉と思われがちですが、「ヤマイヌ」はオオカミを示した言葉になります。
オオカミ自体が日本から姿を消している事から、ほぼ現代では死語化した言葉であると言っていいでしょう。
現在では創作小説や漫画で使われる機会が多いのが現実的な使われ方になっています。
つまり“妖怪・送り犬”が「ヤマイヌ」として呼ばれていると言っていいでしょう。
高橋留美子の『犬夜叉』の敵役やスタジオジブリの劇場映画『もののけ姫』の犬神・モロとしてが有名です。
「ニホンオオカミ」と「ヤマイヌ」の違い
「ニホンオオカミ」と「ヤマイヌ」の違いを、分かりやすく解説します。
前者は明治時代に急激に数を減らした狼の一種類。
「エゾオオカミ」とは別のDNAを持っており、小型なのが特徴だと言っていいでしょう。
国内3点・国外2点の計5点しか剥製・標本が残っておらず、生息についてはほとんどが明治時代を生きた方の語り口によるものになっています。
各地で目撃情報は挙がりますが、正式な確認はされておらず、最後の目撃例から50年を経て絶滅扱いをうけました。
「ヤマイヌ」は明治時代までのオオカミの別称です。
しかし最後の「ニホンオオカミ」の捕獲から120年が経過しようとする現在では死語化しているのは間違いありません。
まとめ
「ニホンオオカミ」と「ヤマイヌ」は同じ動物を指したもので違いはありません。
しかし「ニホンオオカミ」が絶滅した今となってはその意味合いは形骸化。
イエイヌの野生化した野犬と混同して使われたり、各種漫画や小説で妖怪や山の守護神として使われる事が多いのが現実的でしょう。