この記事では、「個人主義」と「全体主義」の違いを分かりやすく説明していきます。
「個人主義」とは?
「こじんしゅぎ」と読み、個人を優先する主義のことです。
もともとは、ラテン語の“individuus”【不可分なもの】に由来し、“individualisme”というフランス語が発祥になります。
18世紀にヨーロッパで、中世的な思想や慣習を打ち破り、近代的な知識体系を打ち立てようとした運動が起こりました。
その運動を「啓蒙主義」といいます。
サン・シモン派が、啓蒙主義の者に対して、利己主義を再生させているとして「個人主義者」と非難しました。
1840年代ドイツのカール・ブリュッゲマンは、個人主義に個人の独自性、独創性、発展性という積極的な意味を持たせました。
その後、19世紀以降のアメリカ合衆国において、「個人主義」は、共産主義や全体主義とは違う社会的な思想という意味合いで使われるようになりました。
現在では、権威を否定して個人の権利、自由を尊重する立場のことをいいます。
また、利己主義という意味で使われることもあります。
「個人主義」の使い方
個人を大切にする場合などに使います。
また、日常生活で「個人主義」と言った場合には、協調性が無いことや、利己主義を指すこともあります。
「あの人は、個人主義者だ」のように使います。
「全体主義」とは?
「ぜんたいしゅぎ」と読み、個人の自由や社会集団の自律性を認めず、個人の権利や利益を国家全体の利害と一致するようにする思想や政治体制のことをいいます。
1923年に、“totalitarismo”という単語がイタリアのジャーナリスト兼政治家のジョヴァンニ・アメンドラによって初めて使われました。
その後、イタリアのファシストが「全体主義」を良い意味で使用しました。
個人の自由や幸福よりも、社会集団や国家の利益の方が重要で、それに奉仕することを求める主義になります。
「全体主義」の使い方
日常生活では、あまり使われませんが、「あの国は、全体主義的だ」などと、使います。
「個人主義」と「全体主義」の違い
個人を尊重しているのか、国などを尊重しているのかという違いがあります。
また、「個人主義」は、利己的な人、協調性の無い人という意味で使うこともありますが、協調性のある人に対して「全体主義」ということはありません。
まとめ
全体主義の対義語が個人主義になります。
個人主義は、人に対して批判的な意味で使うこともあります。