危機管理問題で古くから使われている「ニアミス」と「ヒヤリハット」の言葉の持つ意味の違いとはどんなものでしょうか。
この記事では、「ニアミス」と「ヒヤリハット」の違いを分かりやすく説明していきます。
「ニアミス」とは?
「ニアミス」とはニュースで何年かに一度聞くことがあるでしょう。
航空機同士の異常接近について指す言葉として有名です。
またそれが転じて禁忌関係の人間が偶然すれ違ったりした場合を比喩的に表現することもあります。
さらには労働災害においての未然事故を指す場合もありますが一般的ではありません。
「ヒヤリハット」とは?
「ヒヤリハット」とはもともと「ハインリッヒの法則」として1929年世界恐慌下のアメリカで生まれたものです。
いわゆる労働災害における経験則を図解したものになります。
1の重大な事故の背後には29の軽微な軽微な事故、さらには300の因子があるとするものでした。
この300の因子を「ヒヤリハット」と言います。
「ニアミス」と「ヒヤリハット」の違い
「ニアミス」は元来の語源通りに異常接近を指しますが「ヒヤリハット」との比較では未然事故という形を表現するのが妥当と言えるでしょう。
「ハインリッヒの法則」は重大な事故に繋がる1の事実、29の原因、300の因子から成り立っていますが、そのうちの300の因子が「ヒヤリハット」だと言えるでしょう。
「ニアミス」の例文
・『近年多発するゲリラ豪雨の水害はニアミスとして対策をうつ必要がある』
・『犬猿の二人がニアミス寸前で見ているこっちがドキドキしたよ』
例文の前者は災害における事例を表現しています。
災害を未然に防ぐために、以前に発声した災害やニアミスを分析する内容を示しています。
後者は本来のニアミスの語源から派生した意味合いからなりました。
こちらのニアミスは異常接近、偶然遭遇を意味したものです。
「ヒヤリハット」の例文
・『スペースシャトルの空中爆発分解事故には目に見えないヒヤリハットが存在していた』
・『タイヤに空気を入れている最中に突然タイヤが爆発した』
例文の前者は「ヒヤリハット」を直接文中に入れたものとなり、爆発という事実、その原因、さらにはそれに繋がる目に見えない因子が存在していた事を意味します。
後者はいわゆる「ヒヤリハット事例」で直接には「ヒヤリハット」を文章には使用していません。
交通事故に繋がったかもしれないタイヤの破裂。
これが「ヒヤリハット事例」に該当するものです。
まとめ
「ニアミス」は本来の意味は飛行機の異常接近を意味し、そこから派生して偶発的人間同士の遭遇未遂を指す場合が一般的です。
しかし労働災害の場では未然事故の意味で使用。
「ヒヤリハット」は「ハインリッヒの法則」の災害定理トライアングルの最下層を指します。
いわゆる重大事故の背後に潜む複数の原因、さらにその背後にある異常を指したものです。