「本山」と「総本山」は特別な寺院を指す言葉です。
それぞれが指しているのはどのような寺院で何を基準に区別されているのでしょうか。
今回は、「本山」と「総本山」の違いを解説します。
「本山」とは?
「本山」とは、「複数の寺院を統括する寺院」を指す言葉です。
「本山」の使い方
仏教の宗教施設である寺院は必ずいずれかの宗派に属しています。
同じ宗派に属する寺院には寺同士で協力したり情報交換したりなど宗派を通じたつながりがあります。
同じ宗派に属する複数の寺院を統括する代表的な役割を持つ寺院を指す言葉が「本山」です。
宗派によって仕組みは異なりますが一般的には「本山」の下に末寺と呼ばれる各寺院が所属する形での上下の関係にあります。
このような仕組みのことを「本末制度」といいます。
「総本山」とは?
「総本山」とは、「宗旨や宗派を取りまとめる最上位の寺院」を指す言葉です。
「総本山」の使い方
日本の仏教は宗旨や宗派に分かれそれぞれ活動しています。
俗に「十三宗五十六派」といわれる仏教の宗旨や宗派はそれぞれ活動拠点として各地に寺院を設けています。
各地に設けた複数の寺院の全てを統括する宗旨や宗派における最上位の寺院を指す言葉が「総本山」です。
宗旨や宗派の頂点に位置する寺院であり、各寺を取りまとめ運営する中枢機能を担います。
「本山」と「総本山」の違い
複数の寺院を統括する上位の寺院が「本山」、宗旨や宗派の中で最上位に位置する寺院が「総本山」です。
「本山」と「総本山」に明確な違いはなく宗旨や宗派によって使い方が異なります。
「総本山」の下に支部のような形で「大本山」を置く宗旨や宗派もあり、その場合は統括機能を持つ「総本山」と「大本山」を総称して「本山」と呼んでいます。
「本山」の例文
・『この寺は宗派の本山だ』
・『本山にふさわしい立派な建物だ』
「総本山」の例文
・『天台宗の総本山は延暦寺だ』
・『総本山には全国の僧侶が修行にやってくる』
まとめ
「本山」と「総本山」は宗旨や宗派によって意味が異なり使い分ける基準もバラバラです。
どちらも複数の寺院を統括する中枢的な寺院である点は共通しているので憶えておきましょう。