「夜叉」と「般若」の意味の違いをご存じでしょうか。
この記事では、「夜叉」と「般若」の違いを分かりやすく説明していきます。
「夜叉」とは?
「夜叉」は「やしゃ」と読む言葉で、「容姿が奇怪で醜く、猛悪な性質をもったインドの鬼神」を意味し、「仏教に取り入れられて以降は仏法を守る鬼神になった」とされています。
「夜叉」はサンスクリット語の「ヤクシャ」を音写したもので、「薬叉」などとよばれることもあります。
「般若」とは?
「はんにゃ」と読む「般若」は仏教用語のひとつで、「悟りを得るための智慧」「真理をとらえる智慧」を意味し、サンスクリットの「プラジュニャー」やパーリ語の「パンニャー」を音写した言葉とされています。
また、「女性の嫉妬や怒りを表す、鬼女の能面」という意味も持ち合わせています。
「夜叉」と「般若」の違い
「夜叉」も「般若」も「仏教に関係する言葉」という意味合いを持つ点は共通していますが、次のような違いがあります。
「夜叉」は「容姿が恐ろしい猛悪なインドの鬼神で、のちに仏教に取り入れられて釈迦の教えを守る鬼神となったもの」を意味します。
古代インドでは人を傷つけたり食らったりする鬼として知られていましたが、仏教に取り入れられて以降は仏法を守る「八部衆」のひとつとされ、「毘沙門天」の眷属に含まれています。
一方、「般若」は仏教用語で「悟りを得る智慧」を意味し、仏の智慧を説く経典のひとつに「般若心経」があります。
また、「般若」は「鬼女の能面」という意味もあり、大きく見開いた目や裂けた口、2本の角を有しているのが特徴的です。
能面としての「般若」は「女性による嫉妬や怒りを表す面」とされ、「葵上」や「道成寺」といった演目で用いられています。
なお、「鬼女の面」を「般若」と呼ぶようになったのは、「般若坊」という名前の能面師が由来とされています。
まとめ
「夜叉」は「容姿が恐ろしく猛悪な性質のインドの鬼神で、仏教に取り入れられて仏法を守る鬼神となったもの」を示し、「般若」は「仏教用語で悟りを得るための智慧」または「鬼女の能面」を示します。
双方の意味や特色を理解して、混同せずに使い分けましょう。