「蜃気楼」と「幻」の違いとは?意味や違いを簡単に解釈

「蜃気楼」と「幻」の違いとは?言葉の違い【3語】

この記事では、「蜃気楼」「幻」の違いを分かりやすく説明していきます。

「蜃気楼」とは?

「蜃気楼」【しんきろう】とは、大気中で光が屈折するために景色が実物よりも曲がったり広がったりして見える現象です。

私たちは、目に光が届くことで物を見て景色を認識できています。

「蜃気楼」は、大気中に温度差ができ温度の高い層と低い層に分かれた時に起こります。

光が空気の層によって屈折の仕方を変えるため、景色の見え方が変わる「蜃気楼」が生じるのです。

主に遠くの海上や湖上、地上に出現し、一年を通して景色が反転したり曲がって見えたりする「下位蜃気楼」が全国の地域で見られます。

また、景色が上に伸びて見える「上位蜃気楼」は滅多にみられませんが、春に出現することが多くなっています。

ちなみに、「蜃気楼」という名称は、この現象が「蜃」(伝説上の生き物)が気(息)を吐いて楼閣(高い建物)を見せる」といわれていたことに由来しています。


「幻」とは?

「幻」【まぼろし】とは、実在していない物が実際にあるように見えること、まやかし、あるいは、確認するのが難しいくらい珍しいものです。

「幻わす」と書いて「まどわす」と読むように、漢字の「幻」は実在しない物が見えて人が混乱することに関連しています。

「幻」は、実在していないのにあたかも存在しているかのように見えたり、あると言い伝えられたりしているものです。

それは、見間違いや思い込みによって生じていたり、人をたぶらかそうとして見せかけている偽物だったりします。

実在しているものの非常に希少なもの、はかないものも「幻」と呼ばれます。


「蜃気楼」と「幻」の違い

「蜃気楼」「幻」の違いを分かりやすく解説します。

これらは実物と異なる景色や物が見えるところが似ています。

ただし、それぞれの言葉が持つ定義は違います。

「蜃気楼」は、大気中で光が屈折するために景色が曲がったり広がったりして見えること、「幻」は、実在していない物があるように見えることです。

「蜃気楼」は景色の見え方がいつもと違うだけで、景色を構成する建物や山などは実在しています。

一方、「幻」で見えているのは、まやかし、作り物で、実在している物ではありません。

ただし、「蜃気楼」は、景色がさかさまに見えるなど実際にあり得ない物を見せていることから、幻が見えていると表現することもできます。

「蜃気楼」の例文

・『魚津は古くから蜃気楼の名所といわれている』
・『遠くの島が浮いて見えるのは蜃気楼が起きているからだ』

「幻」の例文

・『一度だけ美しい蝶を見かけたが、幻だったのかもしれない』
・『手に入らないと思っていた幻の名酒を見つけた』

まとめ

「蜃気楼」は景色が実在するものと違って見える自然現象、「幻」は実在しないのにあるように見えることを意味しています。

「蜃気楼」の景色は「幻」に近いのですが、それぞれの言葉が持つ意味や定義は異なっています。